本の紹介『アーロン収容所』(会田雄次、中公文庫)

本書はイタリア・ルネサンス史の研究者である著者が、英軍捕虜として過ごした体験をもとに書かれた作品であり、日本人論の白眉としても知られています。 

 

戦闘や捕虜生活などの具体的な様子がうかがえるのはもちろんですが、それだけでなく、著者の鋭い観察眼をとおして、日本人と英国人の違い、日本軍と英国軍の違い、インド兵やグルカ兵の事、戦闘状態から捕虜生活という状況の変化に伴う人間模様などが語られるうちに、日本人とは何か、民族とは何か、組織とは、ヒューマニズムとは、残虐性とは、人間とは・・・ということを考えずにはいられなくなります。 

 

戦争や人間というものの仄暗い一面を白日の下にさらす、再読に堪える名著だと思います。

(2018年7月25日)