本の紹介『文章読本』(丸谷才一、中公文庫)

文章読本といえば、谷崎潤一郎や三島由紀夫、川端康成、井上ひさし、中村真一郎などの名だたる文学者のものが残されていますが、本書は英文学者であり、小説家であり、翻訳家であり、書評家でもあった丸谷才一が書いた文章読本です。 

 

文章上達の極意は「名文をたくさん読むこと」に尽きるとのことですが、ではどんな文章が名文なのか。 

 

この本には著者が考える名文が数多く紹介されています。 

 

世阿弥、石川淳、志賀直哉、斎藤緑雨、尾崎一雄、永井荷風などの文章を例にとり、具体的な解説がなされています。 

 

森鴎外は文章上達の極意を問われた際、「『春秋左氏傳』を繰り返し読むこと」と答えたそうですが、さまざまな文章を読み、自分なりの名文を見つけることが大事なのかもしれません。 

 

何度も読み込む度に発見がある、そんな文章読本です。 

 

※著者の書評は面白く勉強になります。文学に多少なりとも興味のある方にはおすすめです(著者はかなり早い段階から筒井康隆や村上春樹という才能を高く評価していた方です)。

(2018年5月14日)